知財業界での夢と希望 -弁理士の日記念ブログ企画2021に3日遅れで参加します-
こんにちは。弁理士の越場です。
ということで、今年もやってきました、弁理士の日記念ブログ企画。
7月1日が弁理士の日であることから、知財系ブロガーが同じテーマで記事を書くというイベントを、弁理士の内田先生が企画してくださっています。
私も毎年参加させていただいて(今年で何年目でしょう、6-7年くらい連続参加だと思います)、今年のテーマは「知財業界での夢と希望」ということで、何を書こうかなあと・・・。
うーん、別に夢も希望もない業界だとは思いませんが、特に明るい未来が想像できるわけでもなく、もしかして早く寝れば夢を見れるかと思ったのですが、朝までぐっすりでした。
おそらく、特許事務所はまだまだ儲かるよ!みたいな話は他の方が書かれると思うので、私はもう少し「知財業界」を広く捉えてみます。
そう、知財業界というのがどの範囲を指すのかよくわかりませんが、特許事務所だけではないというか、特許事務所ってむしろ産業財産権の登録の部分しか扱わないので、今回はそれ以外の範囲について考えてみようと思います。
わかりやすいところで、著作権の話をしましょう。最近こんなニュースがありました。
いつもエガちゃんねるで江頭さんが登場して『エガちゃんです』ってやる時に曲流れてるじゃないですか。あの曲が『著作権侵害』というのが来まして、あの曲が使えなくなってしまいました」と報告を受けた。
ちょっと具体的な内容がわかりませんが、いずれにせよ、芸能人ですら自分でコンテンツを作って発信する時代になり、著作権がより身近になってきたように思います。
もちろん、他人の権利を侵害しないことは大切ですが、同様に、自分のコンテンツも正しく保護されるべきですから、より多くの人たちが、著作権について理解しなければいけない時代になったといえます。
またこんなニュースもありました。
動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿した編み物動画について、「著作権侵害にあたる」とユーチューブに通知され、損害を受けたとして、ユーチューバーが別のユーチューバーらを相手に、110万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。
これなんかは、YouTuber間のトラブルが、著作権を媒体として訴訟で争われている例です。
著作権は、登録や公示の制度がないので、そもそも権利が発生しているかわかりづらいですし、ましてや権利侵害の有無などは裁判でガッツリ争ってみないと判断できないことも多くあります。
誰もがコンテンツクリエイターになりえる時代ですから、やはり著作権についての基本的な素養はますます重要となるでしょう。
今度は商標に目を向けてみます。ちょっと古いですが、こんな話題がありました。
電通の商標出願が明らかになると、ツイッター上では「庶民の疫病退散の習慣を登録して金儲けか…」「信じられない」「思いつく限りのジャンルで名称を独占しようとしてる」などと反発する声が相次いだ。
商標法の規定をみるかぎり、仮に取り下げられなかったら、「アマビエ」は登録できた可能性が高いように思われます。とはいえ、一企業が「アマビエ」を独占するなという感情も、わからなくはありません。
こうした正解のない問題についても、事業活動を行う中で、リスクをとりつつ何らかの結論を出さなければいけません。
電通のような大手でなくとも、同じような問題は生じます。
特許庁のデータベースで公開されると、SNS上ではまたたく間に注目を集めた。多くは「え、これ許されるの?」「これアウトでしょ」と懐疑的な見方だ。
他人に先に登録されてしまうと、その後自分はその商標を使用できなくなってしまう。だから安全のために先に出願しておく。商標制度の基本であり、本来褒められることがあっても、批判される理由はないはずです。
ところが、このようなケースでは、炎上リスクがあります。商標戦略はそこまで考えないといけない時代なのですね。
同じく商標で、最近こんな話題もありました。
音楽グループ「レペゼン地球」が会社を乗っ取られ、商標登録の名義も会社にあるので「レペゼン地球」を使えなくなった
これも昔からよくある、芸能人の商標問題。芸名やグループ名を登録する際に、いろいろな事情から、芸能事務所(マネジメント会社)の名義で商標登録するも、その後関係が悪化しマネジメント契約が終了する際に、商標権の帰属が問題となるケースです。
YouTuberなど、素人がいきなり芸能人になるケースが増えています。多くの方はそもそも商標登録に意識が向いていませんし、仮に登録しようとしても、上記のような細かいトラップがいくつも潜んでいます。
このように、著作権や商標などは、素人・一般人であっても非常に身近なものとなっています。誰もが発信者であり、コンテンツの利用者でもある時代です。
知的財産?特許?そんなの大企業のものでしょ。という時代ではもはやありません。知財を大企業だけのものと捉えると、どんどん狭く深くマニアックな方向に進んでいきます。それはそれで価値がありますが、知的な活動は誰であれ、個人でも中小企業でも、みんながするものです。
発信者側はそうしたアイデアや表現が適切に保護されることを知って、またユーザ側もそれらの正しい使い方を理解することで、私たちの生活はより豊かなものになっていくのだと思います。
インターネットのインフラが整い、コロナのおかげでその新しい利用方法も次々と誕生しつつあります。知的財産の裾野はどんどん広がって、日本人に求められる知財リテラシーは、ますます高まっているといえます。
権利を適切に保護し、みんなが正しく活用する世の中。そんな時代には夢と希望があふれていますね!専門家として、そのお手伝いができるのであれば、私の未来も夢と希望にみちみちています。そう、知財業界にはもはや夢と希望しかないのです!アイラブ知財!ありがとうー!!!
ではでは!
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